はじめに
こんにちは。行き場のない犬・猫の保護・譲渡活動を行っているNPO法人ヴァリアスカラーズの渥美です。
殺処分は、犬猫の命を行政がやむをえず奪うこと。各所で殺処分を減らすための動きが取られていますが、いまだに年間1万頭以上が殺処分されています。
今この記事を読んでいただいている方は、殺処分がなかなか無くならない理由や、減らすために自分自身が出来ることをお知りになりたいのではないでしょうか?
そこで今回は、
・年間の殺処分数の現状はどのくらいか?
・なぜ犬猫の殺処分は無くならないのか?
・殺処分をなくすために「個人でも」できることはあるのか?
これらについて私なりの意見を解説していきます。保護施設を運営しているからこそ見えてくるリアルな現状についてもお伝えできればと思います。
この記事を読めば、犬猫の殺処分の現状を理解し、私達が「個人単位でも」できることが見えてくるはずです。ぜひご参考にしていただければと思います。
その前に少しだけ自己紹介します NPO法人ヴァリアスカラーズの代表理事を務めさせていただいております渥美直幸と申します。 私は20代前半に犬の訓練を学び、その後ペット専門学校の講師を続けながら、犬の訓練士として家庭犬の問題行動の改善やお悩み相談などを行ってきました。これまで多くのスタッフや飼主様に支えられ、そして何より多くの犬や猫に助けられ今があります。その感謝の思いから、42歳の時にヴァリアスカラーズを立ち上げました。小さいながらも保護施設を建設し、今に至ります。 まだまだ未熟な私ではありますが、私の残りの人生で出来ることは何か?と考え、将来もっと犬や猫を取り巻く環境がクリーンな世界として残せるように、一歩一歩前進したいと思い日々活動させていただいております。 |
目次
1.犬猫の殺処分の現状を確認してみよう
2.何故?犬猫殺処分を行っているのか!それには理由がある
・そもそも保護することとなった犬猫の引き取り数の内訳は?
・犬猫殺処分にはいくつかの理由が設けられている
3.そもそも犬猫の数が多いのだか、
その原因を作り出すペット業界、飼い主さん、野良犬猫の問題。
・仔犬を販売するな!飼うな!ではなくペットショップで仔犬を扱う必要があるのか?
・仔犬、仔猫を欲しがる傾向に「待った!」
・野良犬猫を必ず保護しなくてはならないものなのか?
4.私たち個人個人でも出来ることを早速やっていこう
5.犬猫の殺処分を行う理由を理解し殺処分が無くなる未来に向けて!
▼本文
1.犬猫の殺処分の現状を確認してみよう
下記にある資料を参考に考えると全体像としては犬も猫も殺処分を行う件数は年々減少していると判断出来ます。ただ皆さんが考える殺処分「ゼロ」と比較すればその目標にはほど遠い数字が並んでいます。
ここでの最終のデータ令和4年度でみると殺処分した頭数は犬で2,434頭、猫で9,472頭とあります。
大きな数字でイメージがわかないかも知れないので、イメージしやすく1日に換算しますと犬は6頭~7頭ほどの殺処分、猫は25頭~26頭ほどの殺処分をしているような数字だと言うことです。
このように殺処分をしている事実はあり、私達犬好き猫好きはこの現状を理解した上で、この先この数字を減らすにはどうしたら良いのか?と頭を悩ませているのです。
「●参考資料1」
(参考)平成16~令和3年度の犬・猫の引取り及び処分の状況
年度 |
犬 |
猫 |
合計 |
||||||
引取り数 |
処分数 |
引取り数 |
処分数 |
引取り数 |
処分数 |
||||
返還・譲渡数 |
殺処分数 |
返還・譲渡数 |
殺処分数 |
返還・譲渡数 |
殺処分数 |
||||
平成16年度 |
181,167 |
25,297 |
155,870 |
237,246 |
4,026 |
238,929 |
418,413 |
29,323 |
394,799 |
平成17年度 |
163,578 |
24,979 |
138,599 |
228,654 |
3,936 |
226,702 |
392,232 |
28,915 |
365,301 |
平成18年度 |
142,110 |
28,942 |
112,690 |
232,050 |
4,427 |
228,373 |
374,160 |
33,369 |
341,063 |
平成19年度 |
129,937 |
29,942 |
98,556 |
206,412 |
6,179 |
200,760 |
336,349 |
36,121 |
299,316 |
平成20年度 |
113,488 |
32,774 |
82,464 |
201,619 |
8,311 |
193,748 |
315,107 |
41,085 |
276,212 |
平成21年度 |
93,807 |
32,944 |
64,061 |
177,785 |
10,621 |
165,771 |
271,592 |
43,565 |
229,832 |
平成22年度 |
85,166 |
33,464 |
51,964 |
164,308 |
11,876 |
152,729 |
249,474 |
45,340 |
204,693 |
平成23年度 |
77,805 |
34,282 |
43,606 |
143,195 |
12,680 |
131,136 |
221,000 |
46,962 |
174,742 |
平成24年度 |
71,643 |
33,269 |
38,447 |
137,745 |
14,858 |
123,400 |
209,388 |
48,127 |
161,847 |
平成25年度 |
60,811 |
32,092 |
28,570 |
115,484 |
16,320 |
99,671 |
176,295 |
48,412 |
128,241 |
平成26年度 |
53,173 |
31,625 |
21,593 |
97,922 |
18,592 |
79,745 |
151,095 |
50,217 |
101,338 |
平成27年度 |
46,649 |
29,637 |
15,811 |
90,075 |
23,037 |
67,091 |
136,724 |
52,674 |
82,902 |
平成28年度 |
41,175 |
30,500 |
10,424 |
72,624 |
26,886 |
45,574 |
113,799 |
57,386 |
55,998 |
平成29年度 |
38,511 |
29,955 |
8,362 |
62,137 |
26,967 |
34,854 |
100,648 |
56,922 |
43,216 |
平成30年度 |
35,535 |
28,032 |
7,687 |
56,404 |
25,634 |
30,757 |
91,939 |
53,666 |
38,444 |
令和元年度 |
32,561 |
27,126 |
5,635 |
53,342 |
25,936 |
27,107 |
85,903 |
53,062 |
32,742 |
令和2年度 |
27,635 |
24,199 |
4,059 |
44,798 |
25,385 |
19,705 |
72,433 |
49,584 |
23,764 |
令和3年度 |
24,102 |
21,518 |
2,739 |
34,805 |
23,112 |
11,718 |
58,907 |
44,630 |
14,457 |
令和4年度 |
22,392 |
19,658 |
2,434 |
30,401 |
20,471 |
9,472 |
52,793 |
40,129 |
11,906 |
(注)16,17年度の犬の引取り数は、狂犬病予防法に基づく抑留を勘案した推計値である。
環境省ホームページより 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
2.何故?犬猫殺処分を行っているのか!それには理由がある
・そもそも保護することとなった犬や猫の引き取り数の内訳は?
さて、私も保護活動をして皆様と同じで殺処分をすることに抵抗を示す一人なのですが、子供が駄々をこねるように「殺処分をやめろー」と言い続けた所で結果は変わらないことを知っています。
殺処分「ゼロ活動」これを言うのは簡単、でも実行するにはいろいろなシチュエーションがあり、それを知ると致し方ないことも知ることでしょう。
ただし保護活動を進めながら行政とのつながりを持つようになると逆に殺処分しているその理由が「ん?それは・・・」と疑問を持つことが多いのも事実です。
そこで、ここでは殺処分を行うにもそれなりの理由があるハズ!
その理由を下記の資料を参考に探っていきたいと思います。
まず殺処分しているということは犬、猫を引き取っている事実があることを忘れてはいけません。
「●参考資料2」を一緒に確認していきましょう。もしかしたらイメージが変わるかも知れませんので・・・
「●参考資料2」 |
※環境省ホームページより 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
まず犬の引き取り数内訳から確認していきましょう。ここに上げられている数字をみると飼主様からの引き取り12%。所有者不明88%なのです。もちろん所有者不明の中には、元は飼主様がいて何かしらのトラブルがあり逃げた、捨てたなどなどがあるのも事実でしょうが、全体からすると88%は飼主さんが関係しないであろう犬たちの保護となるのです。それが意味するものは、小型犬でふわふわとかわいくて、ペットショップで見るような犬たちで、お家の中でも飼育出来そうな犬!ではない、ほとんどが野犬であると大いに推測出来ます。もちろん88%のうち何%かは飼主様の何かしらのトラブルにて所有者不明に内訳された子がいるのでしょうからすべて野犬的な見た目、サイズだと言い切りはしませんが・・・。
では次に猫の引き取り内訳を確認していきましょう。私はこれをみて少々驚いたのですが猫の方が飼いやすく負担がかからない為、飼主様からの引き取りが少なく野良猫の多さから所有者不明としての引き取りが断然多いかと思ったのですが猫の飼主様から引き取りが31%であることに驚きました。これは猫の飼いやすさから飼主様の多飼飼育崩壊的なものが、このような数字に反映しているのか?と実際私も想像の範囲をでません。
さて「●参考資料2」をあえて「●参考資料1」へと照らし合わせてみたいと思います。
令和4年度犬引き取り頭数22,392頭のうち飼主から2,687頭、所有者不明19,705頭
令和4年度猫引き取り頭数30,401頭のうち飼主から9,424頭、所有者不明20,977頭
以上となります。まずそもそも皆様どのようなイメージがおありか分かりませんが、殺処分の可能性がある引き取り頭数の内訳を単純に二分化すると飼主様側に問題があるケース(※販売業者を含む)とそもそも野良犬、野良猫問題側とで分かれる事となります。となると殺処分頭数を減らす為に行う活動は飼主様側に寄り添った解決策と野良犬、猫側に寄り添った解決策この2つの考え方の違いを混同せず理解し考えていかなくてはいけないのです。
では話を戻して、この引き取り頭数のうち殺処分を迎えるまでには改めて譲渡先が見つかる子達、または飼主様へと返還などを経て更に数が減るのが当たり前なのですが・・・それでも殺処分される、その理由についてご紹介いたします。
・犬猫殺処分にはいくつかの理由が設けられている
環境省ホームペーシ内には殺処分するに至る理由を3つに分類している「●参考資料3」。まずはそこを確認していきましょう。
「●参考資料3」で述べられている3つの分類は・・・
1、譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
2、①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)
3、引取り後の死亡
これらをもう少し身近な言い回しでご説明いたします。
1,譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
譲渡に適さないと判断した場合となります。その一つに病気の子達、年齢も含め治療して改善が見込める子達であれば出来る限りその可能性を追い求めますが、事実その可能性が無いと判断されてしまえば、そこで殺処分を決定しているというもの。2つ目に攻撃性、攻撃性があり飼育するに困難であり飼主以外の人にも危険が及ぶと判断された場合などがあげられる事だと思います。
2,①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)
単純に里親が見つからなければ殺処分であることを指しています。また収容可能頭数を超えてしまう恐れがある場合です。収容施設と受け入れ頭数の不一致。
3,引取り後の死亡
これは引取り時より病気やそもそも衰弱していたために回復させる事が出来ずに死亡したケース。
「●参考資料3」 動物愛護管理行政事務提要の「殺処分数」の分類 ① 譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)希望者又は愛護団体等に譲渡することが、動物愛護管理法第1条及び第2条の趣旨に照らして適切ではない又は譲り受けた者が同法第7条第1項の責務を果たすことが極めて困難と自治体の獣医師が判断したため、殺処分を行った動物 (例示) ○負傷や病気等による苦痛が著しく、治療の継続又は保管が動愛法第2条の趣旨に反すると判断される動物 ・具体例:治癒の見込みが無い、負傷、重篤な病気又は重度の認知症の動物 ○狂犬病予防法第9条、第 14 条、第 18 条の2に基づいて取り得る殺処分 ○動物衛生又は公衆衛生上問題となる感染症等に罹患し、他の動物又は人への蔓延等を防止するために殺処分が必要な動物 ・具体例:パルボウイルス感染症、猫白血病又は猫後天性免疫不全症候群等の感染症に罹患している動物 ○重篤な病気、著しい障害等があり、譲渡が適切でないと判断される動物 ・具体例:毛包虫症による皮膚炎等難治性の重篤な疾病、著しい奇形 ○収容中及び譲渡後に人や他の動物に危害を及ぼす恐れが高い動物 ・具体例:飼い主等を再々咬んだ履歴を持つなど攻撃性のある動物 ○闘犬として使用又は訓練された犬で、人や他の動物に重大な危害を及ぼす恐れがある動物 ・具体例:土佐闘犬等 ② ①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難) ①以外の理由により譲渡又は保管が困難である、と判断したため、殺処分を行った動物 (例示) ○①には該当しないが、適切な譲渡先が見つからない動物 ・具体例:軽度の疾病、怪我又は先天性疾患並びに高齢、大型又は人に馴染まないため、希望者が現れない動物 ○①には該当しないが、施設の収容可能頭数等の物理的制限により飼養が困難な動物 ○①には該当しないが、適切な飼養管理が困難な動物 ・具体例:大型で飼養管理が困難な犬又は哺乳等の適切な飼養管理を行うことができない幼齢の動物 ③引取り後の死亡 都道府県知事等が動愛法第35条第1項及び第3項に基づく引取り、狂犬病予防法に基づく抑留又は、条例に基づく収容を行った後、その運搬、飼養管理中に殺処分以外の原因で死亡した動物 (例示) ○病気または老衰により死亡した動物 ○事故により死亡した動物 具体例:闘争等 ○幼齢のため死亡した動物 ○死因不明の動物 具体例:輸送中の死亡等 |
※環境省ホームページより 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
ここにあるように殺処分には理由があります、そしてその理由を知ることで何をしなくてはならないのか?が見えてきます。まずそもそも殺処分が仕方ないと判断出来るのは③の「引き取り後の死亡」です。ここについては、どうしようもない状況より私達も受け入れるべきでしょう。難しい問題は①「譲渡することが適切ではない」と②「①以外の処分」なのです。
ちなみに当団体は①の中でも攻撃性があると判断された犬の保護を中心に保護活動をしております。ここで思うことは攻撃性があるのは事実なのですが、私のような者が飼育できその命を消すこと無く私達の施設で元気に暮らしているのです。②の問題にも通じるのですが問題は誰がその犬に攻撃性があると判断し、改善の余地が無いと判断し殺処分を決断するのか?ここが大きな重要ポイントです。人によりその犬がどのような状況にありその後、回復を望むことが可能かどうかの判断が違うのです。私の経験上この問題があるとなると病気も今後治癒の見込みがあるのか無いのかと判断するのも人による違いが大きいのでは無いかということ。ましてや相手は動物ですから色々な面で予測できないこともあります。ですから①の問題については、その犬猫の殺処分を決断するのに、どれほどのプロフェッショナルが関係して決断したのか?といったところに殺処分「ゼロ」に向けてのヒントがあるのではないかと考えます。
②の問題については一番深刻です。上記で述べた様にいくら正しい判断をして、その犬や猫の殺処分を食い止めたとしても、次におこりうる問題はその犬や猫をどこで飼育するのか?といったリアルな問題です。
この問題を解決するには皆様が国に納めている税金をこの犬猫の問題のために国が保護施設建設を進めていくようにと強く要望し続けるか、自らがお金を出し保護施設を建設するかです。
私は結果、自ら保護施設を建設してしまったものです。これをしてしまうと犬や猫にかかる費用の前にただただ借金返済といった悲しい問題が増えます・・・(泣)。
深刻な問題ではありますが、借金のお話はまた機会があるときにします。殺処分を行っている事実、そしてそこにはその理由があること、そしてその理由を知ったところで私達が将来すべきこと向かって行くべき方向性を考えて行くことが重要だと思います。
ちなみに殺処分に至る3つの分類が「●参考資料1」の令和4年度で明記されていますので「●参考資料4」として出しておきます。
「●参考資料4」
犬・猫の引取り及び処分の状況 令和4年度より
|
引取り数 |
処分数 |
||||||||||||
飼い主から |
所有者不明 |
合計 |
返還数 |
返還数 |
譲渡数 |
譲渡数 |
殺処分数 ※ |
殺処分数 |
||||||
成熟個体 |
幼齢の個体 |
成熟個体 |
幼齢の個体 |
① |
② |
③ |
合計 |
|||||||
犬 |
2,392 |
184 |
15,343 |
4,473 |
22,392 |
7,947 |
32 |
11,711 |
3,721 |
1,701 |
281 |
452 |
2,434 |
449 |
猫 |
7,192 |
2,367 |
3,359 |
17,483 |
30,401 |
205 |
65 |
20,266 |
13,630 |
3,855 |
2,857 |
2,760 |
9,472 |
5,878 |
合計 |
9,584 |
2,551 |
18,702 |
21,956 |
52,793 |
8,152 |
97 |
31,977 |
17,351 |
5,556 |
3,138 |
3,212 |
11,906 |
6,327 |
重要なポイントは①と②の数字です。ここを今後どのように改善していくか?が国も私達も考えて行く必要があるのではないかと思います。
3.そもそも犬猫の数が多いのだか、その原因を作り出すペット業界、飼い主さん、野良犬猫の問題。
・仔犬を販売するな!飼うな!ではなくペットショップで仔犬を扱う必要があるのか?
世間ではペットショップなどにおける犬猫の販売に対する風あたりは強い・・・。
それは何故か?
犬猫の保護頭数が多い!殺処分が問題である!と声が上がる中、ペットショップで犬や猫を販売することは誰もが想像するに相反する行為であると感じるためであろうと思う。
しかし、事実ペットショップなどで売られている犬や猫・・・簡単に言えば飼主さんが関係するケースからの引き取り頭数は犬で全体の11.5%、猫で全体の31.4%「●参考資料4」となっています。
さらに、これ以上の資料がないので分かりませんが、上記「%」の中から飼主さんから引き取られた犬や猫が必ずしもペットショップから購入したか?と言われるとそうでもない、その中には保護団体から里親として引き取った飼主さんもいるでしょうし、猫については、そもそも野良猫を自宅で飼おうとしたが断念したケースも含まれるでしょう。
実は数字上では「ペットショップ」から購入した飼主さんが直接関係する形で飼っていた犬猫の保護または殺処分された頭数は全体の中でも10%を切っていると想像出来るでしょう。
となると世間で殺処分「ゼロ」活動に対する対策案として真っ先に訴えるのが、ペットショップ廃止案では少々物足りないと言えます。もちろんペットショップは正義だ!とはいえるわけではありませんが。殺処分「ゼロ」活動を考える上ではもっと考えなくてはならないのは、ペットショップに犬や猫が並ぶ前に注目する必要があります。それはブリーダー(繁殖させる事について)について取り上げる事。そして所有者不明の野良犬、猫問題を取り上げる事、そんなところを考えていく必要があるでしょう。
・仔犬、仔猫を欲しがる傾向に「待った!」
仔犬、子猫を欲しがる傾向がとても多いと感じるのは私だけでしょうか?確かに何か目的があり、どうしても
仔犬、仔猫期より育てる必要があるのであれば致し方ないのですが、仔犬、仔猫を欲しがる傾向の理由に「かわいいから」といった理由よりそれらを手にしようと考えてしまう傾向が多いのでは?と思います。
しかしこれが上記でお伝えした通りペットショップに犬や猫が並ぶ前に注目しブリーダーや、野良犬、野良猫を扱っている保護団体に注目していくと、そこにも同じように、かわいいを満たしてくれる子たちとの出会いは必ずあるのです。
現状のペットショップから見習うべきところが一つあるのですが、それは気軽さです。犬や猫の出会いを求める皆様が気軽にブリーダーや保護団体へと足を運ぶことができる、そんな当たり前の日常(敷居の低さのような気軽のイメージ)を作らなくてはいけないのではと感じてなりません。
しかし商売っ気の強いブリーダーはそれらを拒むかもしれません、それらを拒むということは繁殖させている親の管理が不十分であったり、飼育頭数が異常に多かったりと皆様から見られたくない部分がある可能性も多いのです、実はこれは保護団体も同じで保護という名のもと無理くりにでも飼育環境以上に保護をして皆様に見せるにはひどい環境下に犬や猫を閉じ込めてしまっている現状もあるのです。
それらに気づいてもらいたいからこそ、より一層ペットショップのみに注目せず、そして仔犬、仔猫以外の可愛さにも気付けるところへと足を運んでみてはいかがでしょうか?
そういった皆様の行動の変化が、いずれペット業界の当たり前を崩すことになり、皆様の正しい目がペット業界内の環境整理にいきることだと思います。
ちなみに、仔犬、仔猫をご家族に迎え入れお世話することは将来その子たちがどのように育っていくか?は飼い主様に委ねられています。ですから犬猫とゆっくり過ごしたかったのに、元気すぎたり、山や海へと行きたかったのに怖がりだったりと飼い主様ご家族のニーズに合わないケースも多々あります。
しかしながら成犬・成猫ともなれば、それら性格や行動判断は仔犬・仔猫よりも容易に判断しやすくなります。
そんな理由からも仔犬・仔猫以外の魅力があるのではと思います。
・野良犬猫を必ず保護しなくてはならないものなのか?
少々話は変わりますが、保護団体を運営していますと私はいつも考えることがあります。
それは保護して人が飼育すること。それは今というタイミングで必ず行わなくてはならない最優先事項であるのか?といった考えです。
皆様そして私も思うところは殺処分をなくそう!!殺処分を「0」にしよう!が今するべき考えの最優先事項なのではないかと・・・
となると、殺処分はどこで行っているのか?そしてそれはなぜ行わなくてはならないのか?
今一度「参考資料3・4」に注目してみましょう。その中でも保護中に致し方なく死亡が確認されたケースにおいては別ですが、病気、攻撃性、施設の収容可能頭数等の物理的制限によるための殺処分・・・とあります。
そうです病気がある、攻撃性がある動物こそ保護対象であり、それ以外の犬や猫について、とにかく保護保護保護としてしまうことで、より一層、施設の収容可能頭数等の物理的制限が問題となり殺処分する必要がでてしまうのです。
もちろん私はあくまでも今!といったタイミングで、このことを皆様に問いかけています。
保護すればするほど、施設で保護する場所、人がいないなど必要な条件が追い付かないのであれば保護する優先順位をきめて確実に数年から数十年単位で野良犬、野良猫などがいないといったフェーズまでもっていくべきだ!と考えるのです。
やらなくてはならないことは野良犬、野良猫「0」活動ですか?
今行いたいこと、または今後も絶対に行っていてほしいのは殺処分「0」活動・・・殺処分0をゴールとするのですよね?
となると、少なくとも野良犬、野良猫の保護についてはよく考えるべきで余裕のある地域(県・市など※殺処分頭数がかなり少ない)は保護することを最優先としてよいのですが、そうでなければ猫で行っている捕獲→不妊手術→元の地域へ!この活動はとっても理に適った活動であることがいえます。そして一番問題となるのは野犬、ここについても法律の問題があるのではと思うが各地域におけるルールで猫の方法を取り入れることは出来ないものだろうかと思ってしまう。野犬の保護ではなく猫同様にケースバイケースではあるが野犬の保護→不妊手術→元の地域へと戻す。結果数年から数十年のサイクルの中でその山にいる犬は繁殖ができないことから自然に頭数を減らしていく。
さて最後に述べたものは、ふと思う私の頭の中・・・
何を言っているのだ?と感じたかもしれませんが、事実!殺処分「0」=保護しなくては!を続けてしまうと結果的には収容可能頭数の物理的制限が問題となります。
自然で生き抜いている大人で健康であろう犬や猫を急に施設へと保護して人との生活に震えながら狭い環境で暮らすその子たちは本当に幸せなのだろうか・・・。
深く考えてあげなくてはならない事項ではないだろうか。
4.私たち個人個人でも出来ることを早速やっていこう
~犬猫の里親になる~
そもそも犬や猫を助けいとお考えがある場合で、お家でお世話ができるご家族様であれば、やはり一番は里親になることではなでしょうか?
その中でもよりかわいい子をと思てしまうのは当たり前ではありますが、本当は病気の子や高齢な子など特殊なタイミングで保護されている子たちを優先に里親になってくれたら一番の助けとなるでしょう。
~ボランティアとして参加する~
ボランティア内容は探し出せば数多く活動の場はあるでしょう。どんな小さなことであってもご自身ができる範囲でご自身ができる内容を、各団体とお話をして参加が可能だと思います。
どんな小さな内容でも多くの人がボランティアに参加することでよりよい環境が守られます。
〇日々の保護犬・猫のお世話(ご飯や排泄の処理、仔猫であればミルクあげなどその犬・猫による)
〇施設のお掃除
〇犬や猫の捕獲・補助
〇病院への搬送・補助
〇募金活動
〇里親募集活動
などなど
~寄付~
〇お金による寄付
正直、どれほどの管理ができて、どれほど恵まれない犬や猫を保護して最低限の健康管理が徹底できるか?その結果はお金があるかないかで大きな違いを生みます。それだけお金は重要事項です。
たった一円でも多くの人がそれを行うことに意味があります。他のできることでも述べましたが多くの人がそのことを知ることで、その多くの人がご自身が負担だと感じない少額寄付をすること、それが理想です。
そして一時的なものではなく継続寄付をいただけることでようやく命ある動物の生活を安定させることができるようにのが現実です。
〇物による寄付
ご飯やトイレシーツやトイレ砂など消耗品の寄付が一番必要なことだと思います。もちろん、すでにお使いでお家の中では不必要となったものを寄付することでも大変ありがたいことですが一番は各保護団体に一度お問合せしどんなものが今必要か?と聞いてから、その必要なものを必要なタイミングで寄付することが一番かと思います。
~SNSなど活用する~
個人の負担はより小さく、その小さな寄付をより多くの人から受けることが重要です。
そうなると皆様がすぐにでもできることはSNSの利用、良い情報を正しく多くの人へと拡散していただけますと
大変うれしく思います。
5.犬猫の殺処分を行う理由を理解し殺処分が無くなる未来に向けて!
本記事では今現状の犬猫の殺処分の理由と個人でもできる取り組みについて紹介させていただきました。
現状における殺処分の理由については
1、譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
譲渡に適さないと判断した場合となります。その一つに病気の子達、年齢も含め治療して改善が見込める子達であれば出来る限りその可能性を追い求めますが、事実その可能性が無いと判断されてしまえば、そこで殺処分を決定しているというもの。2つ目に攻撃性、攻撃性があり飼育するに困難であり飼主以外の人にも危険が及ぶと判断された場合などがあげられる事だと思います。
2、①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)
単純に里親が見つからなければ殺処分であることを指しています。また収容可能頭数を超えてしまう恐れがある場合です。収容施設と受け入れ頭数の不一致。
3、引取り後の死亡
これは引取り時より病気やそもそも衰弱していたために回復させる事が出来ずに死亡したケース。
以上3つが挙げられ、それに対して私たち個人ができる取り組みについては大きく4つがあります。
- 犬猫の里親になる
- ボランティアとして参加する
- 寄付
- SNSなど活用する
人の都合で恵まれなかった犬猫に、本来手にすることが出来る最低限の幸せを…1人ひとりの行動で、実現に一歩ずつでも近づけることが大切です。
ぜひ、ご自身ができるものは何か?を考えるききっかけとなればと思います。
ヴァリアスカラーズでは、殺処分ゼロを目指して里親募集や寄付の受け付けも実施しております。
少しだけでも何か出来たらと思っていただけましたら、ご協力をお願いいたします。
皆さまからのご支援が私たちの、そしてなにより犬猫の生きる力になります!
1頭でも多くの命を救うために、ぜひご支援・ご協力をお願いいたします。