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2025年1月24日

愛犬に「おいで」を教えたい!すぐに試せる練習の仕方


犬のしつけにおいて、「おいで」のコマンドは非常に重要なスキルです。
しかし、それを確実に実践するためには、計画的かつ段階的な訓練が必要です。
今回は、30日間の実践的な訓練をもとに、「おいで」を教えるためのプロセスとポイントを解説します。

その前に少しだけ自己紹介

NPO法人ヴァリアスカラーズの代表理事を務めさせていただいております渥美直幸と申します。
私は20代前半に犬の訓練を学び、その後ペット専門学校の講師を続けながら、犬の訓練士として家庭犬の問題行動の改善やお悩み相談などを行ってきました。
これまで多くのスタッフや飼主様に支えられ、そして何より多くの犬や猫に助けられ今があります。
その感謝の思いから、42歳の時にヴァリアスカラーズを立ち上げました。小さいながらも保護施設を建設し、今に至ります。

まだまだ未熟な私ではありますが、私の残りの人生で出来ることは何か?と考え、将来もっと犬や猫を取り巻く環境がクリーンな世界として残せるように、一歩一歩前進したいと思い日々活動させていただいております。

目次

  1. 「おいで」を教える目的
  2. 基本的な考え方
  3. 段階的なステップアップ ~効果的に進めるための具体的な方法~
  4. ドッグランや外部環境での実践 ~リアルな場面での応用力を育てる~
  5. 成功体験を積み重ねる重要性 ~「できた」という感覚が犬を成長させる~
  6. 訓練の成果と限界 ~犬ごとに異なる学習ペースを理解する~
  7. 今後のアプローチ ~訓練を日常生活に活かす~
  8. まとめ

 

「おいで」を教える目的

「おいで」を教えるのは、犬を呼び戻すだけが目的ではありません。興奮していても、周りに誘惑があっても、必ず戻ってくることが最終目標です。
それは、犬とのコミュニケーションを深め、信頼関係を築くための基礎となる大切なスキルなので、以下では「おいで」を教える目的を掘り下げて、なぜ教える必要があるのかを解説します。

1. 犬の安全を守るため
犬は思わぬ行動で事故に遭うことがあります。
道路に飛び出したり、他の犬を追いかけたりする時でも、「おいで」ができればすぐ呼び戻せて安全です。周囲の人や動物とのトラブルも防げます。

2. 誘惑や興奮に負けない力をつける
犬が指示を無視するのは、猫や鳥を追いかけたい、他の犬と遊びたいなど誘惑に負ける時です。
毎日の練習で「おいで」を習慣にすれば、飼い主の声を優先できるようになります。

3. 飼い主との信頼関係を深める
飼い主のもとに行くことが「安心で楽しい」と感じれば、犬は自然と従います。
これにより、飼い主の言葉が犬にとって特別な意味を持つようになり、日常の中での信頼関係の基礎が出来上がります。

4. 自由とコントロールのバランスをとる
犬が自由に動き回る喜びを得る一方で、飼い主のコントロールが効く状態を保つことは非常に重要です。
「おいで」の指示が完璧にできる犬は、ドッグランや公園で自由に遊んでいても、「おいで」ができればすぐに戻ってこられます。犬も楽しみ、飼い主も安心できる理想のバランスです。

5. 問題行動の予防と改善
「おいで」の練習は集中力を高め、無駄吠えや飛びつきなどの行動改善にも役立ちます。問題行動を防ぐ基本としても有効です。

「おいで」を教えることは、犬の命を守り、飼い主との絆を強める大切なスキルです。
これはただの訓練ではなく、信頼し合いながら暮らすための第一歩になります。
どんな場面でも呼び戻せるようにするには、成功体験を少しずつ積み重ねることが大事です。
その努力は、犬との毎日をもっと安心で楽しいものにしてくれます。

それでは次に教え方の基本的なポイントについて触れていきたいと思います。

基本的な教え方

最初は静かな環境で、「おいで」という指示を確実に認識させます。
ここでは、犬が集中できるような工夫(例:おやつや遊び道具の利用)が大切です。
また、指示に従った際には必ず褒めて(※おやつや遊び道具を与えて)成功体験を与えましょう。それでは下記に詳しくご説明いたします。

1. 静かな環境を選ぶ
初めての「おいで」の練習は、静かで刺激の少ない環境から始めます(室内やフェンスで囲まれた安全な場所など)。
余計な音や他の犬がいない環境なら、犬も飼い主に集中しやすくなります。

2. 「おいで」の言葉をしっかり覚えさせる
犬が「おいで」の言葉とその意味を理解することが、訓練の基礎です。
「おいで」と声をかけ、おやつやおもちゃで犬を呼びます。来たらすぐにご褒美をあげ、合図と行動を結びつけます。

3. ご褒美で楽しい記憶にする
初期段階では、犬に「おいで」の行動を楽しいものと感じさせることが大切です。
好きなおやつやおもちゃを使い、「おいで」を楽しい体験にします。成功した瞬間にタイミング良く与えるのがポイントです。

4. 必ず褒める
犬が指示に従った時は、言葉や撫でる動作でたくさん褒めてあげましょう。
「いい子!」「すごいね!」などの明るい声で褒める、頭や体を優しく撫でるなど、これにより犬は「おいで」の行動を良い経験として記憶します。

5. 短く区切って練習する
犬は長く集中できないので、1回5〜10分ほどで切り上げましょう。短時間で成功を積み重ねる方が効果的です。
これにより、犬が訓練に対してポジティブな印象を持つようになります。またこの練習をやりたい!と思わせることが重要です。

初期段階の「おいで」の練習では、静かな環境での短いセッションとポジティブな強化が基本です。
犬にとって「おいで」が楽しく、意味のある行動だと感じられるよう、成功体験を意識して訓練を進めていきましょう。
この基礎がしっかりしていれば、より複雑な環境での練習にもスムーズに移行できます。

ここから先ではこれまでのポイントを各段階に分けてさらに深掘りして解説します。

段階的なステップアップ~効果的に進めるための具体的な方法~

「おいで」の訓練は、段階的に進めることで効果的に犬に習得させることができます。
このプロセスでは、環境の難易度を徐々に高めながら、犬に新しい状況へ対応する力を育てていきます。

1. 室内練習  ~基礎を徹底的に磨く~

課題

犬が「おいで」と言われたら人のところへ行くことを、”楽しい”と感じる基礎を固める。

期待される効果:犬が「おいで」の言葉にポジティブな印象を持ち、指示に従う基礎が確立されます。

【トレーニング方法】
静かな環境で集中させる
初期段階では、室内のような誘惑物が少ない安全な場所で練習を行います。この環境は、犬が外部刺激に邪魔されずに飼い主の指示に集中できる理想的な場です。

報酬を使ったポジティブ強化
飼い主が「おいで」と声をかけた後、犬が近づいてきたらすぐにおやつや遊び道具&褒め言葉を与えます。これにより、「おいで」の行動を楽しい経験として記憶させます。特に、犬の好きなおやつやお気に入りのおもちゃを使うと効果的です。

短時間で繰り返す
1回の練習時間は5~10分程度に抑え、犬の集中力が切れる前に終わらせることがポイントです。

2. 誘惑物を加えた練習  ~新しい挑戦を与える~

課題

犬が軽い誘惑物に対しても指示を優先できるようにする。

期待される効果:犬が軽い刺激や誘惑に負けず、「おいで」の指示を優先する力をつけます。

【トレーニング方法】
軽い誘惑物を用意する
小さなおもちゃ、軽い音、動きのあるものなどを犬の視界に置き、興味を引く状況を作ります。ただし、最初は刺激が強すぎないものを選びます。

指示を徹底する
犬が誘惑物に注意を向けた際、飼い主は落ち着いた声で「おいで」と呼びます。犬がこちらに来たらすぐに報酬を与えます。※おやつ、遊び道具などを与える

徐々に難易度を上げる
犬が軽い誘惑物に慣れてきたら、より強い誘惑物(例: 他の犬や動くボールなど遊び道具として使用していないものなど)を加え、指示に従わせる練習を進めます。

注意点

指示は失敗しそうな場面では出さず、まずは必ず成功できる体験を積ませることが大切です。
そのうえで、紐をつけておけば誘惑があってもきちんと呼び戻せるよう工夫できます。

3. 興奮状態での訓練 ~本番に近い練習~

課題

犬が興奮状態でも飼い主の指示に集中できるようにする。

期待される効果:日常の様々な状況でも、犬が飼い主の声に優先して反応する能力を身につけます。

【トレーニング方法】

興奮状態を意図的に作る
犬が家族と遊んでいたり、公園で走り回って興奮している状況をあえて作り、そのタイミングで「おいで」の指示を出します。
これは普段よくある状況を想定した練習です。こうした場面をあえて作って繰り返すことで、実際の生活でも確実に呼び戻せるようになります。

タイミングを見極める
犬が興奮しすぎている時に指示を出すと失敗しやすくなります。
不安を感じるほど失敗が続くようなら、少し落ち着いた瞬間や飼い主に目を向けたタイミングで「おいで」と声をかけましょう。成功しやすい状況を作ることも大切です。

成功したら大げさに褒める
興奮している中でも指示に従えた時は、特別なおやつやお気に入りのおもちゃでしっかり褒めましょう。
そうすることで犬は「おいで」を楽しい経験として覚えていきます。

注意点

興奮状態での訓練は負担が大きいため、(※特に失敗が続く場合)犬の様子を見ながら無理のない範囲で行います。

「おいで」の訓練は、段階的にステップアップさせることで、犬の理解を深めるだけでなく、実践力を高めることができます。
基礎を室内で固め、小さな誘惑物から大きな誘惑物へ、そして興奮状態での実践へと進むことで、犬はどんな状況でも飼い主の指示に従えるようになります。
各段階で成功体験を積み重ね、犬との信頼関係を深めることが、この訓練の成功の秘訣です。

おいでの練習方法について、動画でも解説しています。
もしよろしければこちらもご覧ください。

ドッグランや外部環境での実践 ~リアルな場面での応用力を育てる~

ドッグランや公園といった外部環境では、犬にとっての誘惑物(他の犬、匂い、音など)が急増します。
この段階での「おいで」の訓練は、より実践的であり、犬がどのように学んだスキルを活用するかを試す重要なステップです。

~外部環境でトレーニングをおこなうための注意点~

1. 初めはリードをつけたままで練習
完全に自由にする前に、リードやロングリードをつけた状態で指示を試すことが推奨されます。これにより、万が一犬が興奮して他の犬や刺激物に向かおうとした場合でも、飼い主がコントロールできます。

2. 誘惑物に順応させる
初めての外部環境では、強い誘惑物が一度に多く存在するため、犬の集中力が散漫になりがちです。犬がその環境に少しずつ慣れるよう、短時間のトレーニングから始めて成功体験を重ねます。

3. 他の犬との接触を安全に管理
他の犬が近くにいる場合、突然のトラブルを避けるため、飼い主が犬同士の距離や状況をしっかり観察することが必要です。特に、他の犬が遊びに夢中で興奮している場合は、距離を保つか、リードで安全を確保します。

4. 褒めるタイミングを工夫
外部環境では、「おいで」が成功したときに、特別なおやつや遊び道具を用意することで、犬が成功の喜びを強く感じられるようにします。

成功体験を積み重ねる重要性~「できた」という感覚が犬を成長させる~

犬に「おいで」を教えるうえで、最も重要なのは成功体験を積み重ねることです。
成功体験を繰り返すことで、犬は「おいで」という指示に従うことを楽しいものと認識し、自発的に行動するようになります。

~トレーニングにおける成功体験の具体的な与え方~

1. 指示が必ず成功する状況を作る
初めは簡単な環境で練習し、犬が100%成功できる状態を整えます。例えば、室内や安全な囲いのある場所での練習から始めます。

2. 成功のたびにポジティブな強化を行う
成功時には犬が喜ぶおやつや遊び道具を与え、特別な行動として記憶させます。この報酬は最初は頻繁に与え、徐々に減らしていきます。

3. 失敗を減らす工夫
失敗が続くと、犬は「おいで」の指示が重要ではないと誤解する可能性があります。そのため、犬が指示に従わない場面では無理に呼び続けず、適切なタイミングで再挑戦します。

4. 犬の進歩を観察し、適切なタイミングで環境を変える
成功が繰り返されるようになったら、次の段階として外部環境や誘惑物を少しずつ加え、挑戦のレベルを上げていきます。

訓練の成果と限界 ~犬ごとに異なる学習ペースを理解する~

30日間の訓練を通じて、多くの犬が「おいで」を一定のレベルで習得することができます。しかし、犬の性格や経験、環境によって学習速度や成果には大きな違いがあります。

トレーニングにおける成果が見られるポイント

1. 指示に従う頻度が増加
初期段階ではおやつや遊び道具が必要だった「おいで」の指示が、徐々においでの指示と褒め言葉だけでも効果を発揮するようになります。

2. 外部環境での安定した反応
ドッグランや散歩中、他の犬や誘惑物がある状況でも、指示に従うケースが増えます。

トレーニングにおける限界への理解と対応

1. 犬ごとの特性を尊重する
すべての犬が同じスピードで学習するわけではありません。興奮しやすい犬、慎重な犬など、それぞれの性格に合わせた練習が必要です。

2. 無理な目標設定を避ける
短期間で完全なスキルを求めるのではなく、徐々に成果を積み上げていくアプローチを心がけます。

3. 飼い主の一貫性が鍵
飼い主が一貫した態度で練習を行うことが、犬にとっての安定感を生み出します。

今後のアプローチ ~訓練を日常生活に活かす~
訓練は30日間で終了するものではありません。犬との信頼関係を築くためには、日々の練習を続けることが不可欠です。

トレーニングをいかに日常生活で実践するか?応用すること

1. 散歩の時間を活用する
散歩中に突然「おいで」を試し、日常の動作に組み込むことで、スキルを実践的に活用します。

2. 定期的な復習を行う
基本的なスキルを忘れないよう、定期的に短いトレーニングを設けます。

3. 新しい環境で挑戦する
犬が慣れた環境での練習に成功したら、他の場所や状況でも挑戦を繰り返し、応用力を高めます。

トレーニングポイント

ドッグランや外部環境での訓練は、実践的な応用力を高める重要なステップです。
同時に、成功体験を積み重ねることで、犬は「おいで」の指示をポジティブに受け入れるようになります。
30日間の訓練で基礎を築き、その後も継続して練習を行うことで、飼い主と犬との信頼関係はさらに強化されていくでしょう。

まとめ~成功の積み重ねが信頼を築く~

犬との生活は、日々の小さな挑戦と喜びの積み重ねです。
「おいで」を教えることは、単に飼い主の元へ犬を呼び戻す技術を学ぶだけではありません。それは、愛犬と飼い主が互いを理解し、信頼し合うためのかけがえのないプロセスです。

最初は思うようにいかないこともあるかもしれません。誘惑物に負けたり、失敗することもあります。
しかし、その過程こそが愛犬との関係をより深いものにしてくれます。一つひとつの成功体験が、犬にとっての自信となり、飼い主にとっても愛犬を信じる心の支えとなるでしょう。

訓練は一日で完璧にできるものではなく、継続して取り組むことで、少しずつ形になっていきます。
愛犬と共に過ごす時間を楽しみながら、焦らず、根気よく練習を続けてください。その先にあるのは、困難な状況でも安心して頼れる愛犬との特別な絆です。
何よりも大切なのは、飼い主である皆さまが「楽しむこと」です。愛犬の成長を見守り、成功の瞬間を一緒に喜ぶ時間は、きっとかけがえのない思い出になります。
愛犬との日々を通じて、「おいで」が成功した瞬間の感動や達成感を共有し、共に成長する喜びを感じてください。

最後に、皆さまと愛犬が一歩ずつ前に進むことで、さらに幸せな毎日を築けることを心より応援しています。愛犬との素晴らしい時間をどうぞ大切にしてください。

支援・応援のお願い


私たちヴァリアスカラーズは、行き場を失った犬や猫の命を守り、新しい家族へつなげる活動を続けています。
この活動は私たちだけの力では続けられません。医療費や食費、施設維持費など、どれも命を守るために欠かせないものですが、日々大きな負担となっています。
もしこの記事を読み、「犬や猫の未来を守りたい」と少しでも感じていただけたなら、どうか私たちの活動を応援してください。
ご寄付は、一頭でも多くの命を救うための医療や生活費に大切に使わせていただきます。私たちの目指すのは、どの命も最後まで愛され、安心して暮らせる社会です。
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