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2025年7月31日

ピットブルは本当に“危険な犬種”なのか?人種差別ならぬ「犬種差別」を越えて

ピットブルを飼う私だからこそ伝えたいこと

うちにはピットブルがいます。毎朝しっぽを振って寄ってきて、私の顔をペロッと舐めるのが日課です。 この子の寝顔を見ていると、なぜ「ピットブル=危険」と言われるのか、本当に不思議に思うことがあります。

でも現実には、「怖い犬」「咬む犬」というレッテルを貼られ、飼育が規制されている国や地域もありますし、ニュースでは凶暴な事件ばかりが取り上げられています。

今回は、実際にピットブルと暮らしている一人の飼い主として、この犬種のこと、そしてその周りを取り巻く社会の偏見について、正直にお話ししたいと思います。

 

ピットブルとは?名前の響きに隠された真実

名前の由来と誤解されやすいイメージ

「ピットブル」という名前だけで、怖い、強そう、危ない……そんなイメージを持つ人は少なくないと思います。 名前の由来は、かつて“闘犬”として使われていた歴史にあります。 「ピット(闘技場)」+「ブル(ブルドッグ)」の組み合わせです。

ただ、現代のピットブルたちは、その用途とはまったく異なる存在。 家庭犬として愛されている子も多く、性格はまっすぐで素直な一面があります。

どんな犬種?歴史的背景を知ろう

「ピットブル」とは実は正式な犬種名ではなく、アメリカン・ピット・ブル・テリア(APBT)をはじめ、数種の犬を指す総称として使われています。

ルーツは19世紀のイギリス。ブルドッグとテリアを交配して生まれた犬たちが、のちにアメリカに渡り、「アメリカン・ピット・ブル・テリア」として発展しました。

本来は、人と共に働く能力を持ち合わせた、忠実でタフな犬種。 しかし、強さゆえに悪用されてきた歴史があり、そこから“危険な犬”というレッテルが生まれてしまいました。

 

魅力と危うさ、なぜピットブルは注目されるのか?

筋肉質で頼もしい見た目

ピットブルは見た目がとても印象的です。筋肉質な体、低く構えた姿勢、鋭い目つき。 たしかに「強そう」という印象は与えます。

でも、近づいてみれば、しっぽをブンブン振ってくる甘えん坊だったりするのです。

忠誠心と飼い主への強い愛情

実際に飼ってみると、ピットブルの愛情深さには驚かされます。 家族に対してはとても従順で、まるで人間の子どものようにふるまうこともあります。

警戒心が強い分、信頼関係ができると、強い絆が生まれます。

一方で、力と気質のリスク

ただし、誰にでも向いている犬種ではありません。 筋肉量や噛む力は桁違い。小型犬とは比較にならない力を持ちます。 加えて、自己主張が強い個体も多く、きちんとトレーニングされていないとトラブルの原因になります。

“強さ”を理解し、正しく導く知識と経験が必要なのです。

 

現実に起きているピットブルの「事故」

世界・日本での咬傷事故の事例

ピットブルに関する咬傷事故は、特にアメリカなど海外で多く報道され、日本国内でも散発的に発生しています。これらの事件は確かに痛ましく、人命が失われることすらあります。そのため、「ピットブル=危険な犬」というイメージを持つ人が多いのは当然かもしれません。

たとえばアメリカでは、CDC(疾病予防管理センター)などが過去に報告したデータにより、「重大な咬傷事故を起こした犬種」としてピットブルが上位に名を連ねることがあります。日本国内でも、2017年に神奈川県でピットブルに襲われた女性が大けがを負った事故などが記憶に新しいかもしれません。

ですが、これらの事故の背景を掘り下げると、単に「ピットブルだったから危険だった」という単純な話では済まないことが多いのです。

その多くが“人間側の問題”でもある

事故が発生したケースの多くで共通するのが、「不適切な飼育管理」や「社会化不足」、あるいは「誤ったトレーニング」といった“人間側の問題”です。

たとえば、

  • 鎖につなぎっぱなしで運動させていなかった

  • 子犬期に人との関わりをほとんど持たせなかった

  • 強い支配を与える“力による服従”を目的としたトレーニングを行っていた

  • 攻撃性をあえて強化するような飼い方(番犬・闘犬目的)をしていた

こうした条件がそろえば、どの犬種であっても“危険な犬”になり得ます。

ただ、ピットブルは身体能力が高く、感情も豊かで反応が鋭いため、人間側が間違った関わり方をしたときの「リスク」が顕在化しやすいのです。

これは例えるなら、「高性能なスポーツカー」を誰にでも運転させてしまったら危険──というようなものです。正しい知識と責任感を持って関われば、これほど信頼できる犬もいません。

 

危険だから悪い犬」ではない!ピットブルを巡る社会の分断

「見た目で決めつけないで」という声

ピットブルに対して「怖い」「危険」というイメージを持つ人は少なくありません。しかし、実際に彼らと触れ合った経験者からは「見た目で決めつけないでほしい」という声が多く聞かれます。

その筋肉質な体つきや鋭い顔つきは、確かに威圧的に見えるかもしれませんが、内面は温かく愛情深い犬も多いのです。ピットブルの魅力を知れば、「怖い」という先入観が少しずつ和らぐでしょう。

飼育放棄・禁止条例の実情

日本をはじめ多くの国や地域では、ピットブルを含む特定の犬種が「危険犬種」として飼育を制限されたり、禁止されたりする条例があります。これらの規制は、過去の咬傷事故を受けての措置ですが、すべての個体に適用されるため、無実の犬まで不利益を被っているのが現実です。

また、こうした規制のために、飼育困難となった飼い主が犬を放棄し、その結果、保護施設に持ち込まれる犬が増えるという悪循環も起きています。

本当に悪いのは犬か、人か?

「危険だから殺処分すべき」という考えはシンプルですが、本当に問題なのは犬そのものなのか、あるいはその犬を育てる人間の責任なのかを考える必要があります。

犬の性格や行動は、育てられ方や環境によって大きく左右されます。放置されたり、適切な社会化やトレーニングを受けられなかった犬は、不安や恐怖から攻撃的になることもあります。

つまり、犬を“悪者”にしてしまうのは簡単ですが、その背景には人間の無知や無責任が深く関わっているのです。

 

ピットブルを迎えるには?知っておきたい覚悟と責任

飼育に必要な心構え

ピットブルを家族として迎えるには、強い責任感と確かな知識が欠かせません。

彼らはただの「かわいいペット」ではなく、力強く感情豊かなパートナーです。日々の適切な運動、社会化、しつけはもちろん、精神的なケアも必要となります。

何より、トレーニングは「リーダーシップ」と「愛情」のバランスが大切で、ただ厳しくすれば良いわけではありません。信頼関係を築く時間と努力を惜しまない覚悟が求められます。

一般家庭で飼うことの現実

ピットブルは確かに魅力的ですが、その特性ゆえに飼育が簡単な犬種ではありません。

特に初めて犬を飼う方や小さな子どもがいる家庭では、向き不向きがはっきり分かれます。適切な環境が用意できないと、思わぬトラブルや事故につながるリスクもあります。

飼い主として、自分の生活スタイルや環境、知識や経験をしっかり見極めてから迎えることが重要です。

安易な購入が招く悲劇

一方で、「かっこいいから」「強そうだから」といった理由だけで安易にピットブルを購入する人も少なくありません。

しかし、飼育の難しさや必要なケアを理解しないまま迎えられた犬たちは、適切な飼育をされず問題行動を起こしやすくなり、結果として放棄や処分の道を辿ってしまうことも多いのです。

犬も飼い主も不幸になる悲しい現実を防ぐために、ピットブルを迎える際は必ず準備と学びを怠らないでほしいと強く願います。

 

命を守るという選択、処分される“普通の犬たち”のことも知ってほしい

日本の野犬や飼育放棄犬の現状

日本では毎年、多くの犬が何らかの理由で保健所や動物管理センターに収容されます。その中には、飼い主から放棄された犬や、野犬として生きていた犬たちも含まれています。

残念ながら、収容された犬の多くは限られた期間内に新しい飼い主が見つからなければ、殺処分されてしまう現実があります。

特に「問題行動」がある犬や、見た目が怖いとされる犬は譲渡のハードルが高く、命の危機に直面しやすいのです。

「ピットブルだけじゃない」犬たちのSOS

ピットブルだけが問題視されがちですが、実は野犬や柴犬など、日本でよく見かける“普通の犬”にも同じような問題は起きています。

噛みつきや吠え癖、逃走癖などで飼育が難しくなり、放棄されるケースも少なくありません。

それらの犬たちは「危険だから」という理由だけで、助けを求める声が届かずに命を失っていることもあります。

私たちが目を向けなければならないのは、特定の犬種だけではなく、命としての尊厳を持つすべての犬たちのことなのです。

 

最後に。私たちにできること(寄付のご案内)

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ピットブルという犬種や、その周囲にある現実について、少しでも理解が深まったなら嬉しく思います。

私たちNPO法人VariousColors(ヴァリアスカラーズ)は、攻撃性などの理由で殺処分寸前に追い込まれた犬たちを中心に保護し、専門的なドッグトレーニングを通じて、再び人と安心して暮らせるようケアを行っています。

決して「ピットブル」だけでなく、野犬や柴犬など、多様な背景を持つ犬たちの命をつなぐ活動です。

この活動は、多くの支援者の皆さまからの寄付によって支えられています。

飼育環境の整備や訓練の費用、医療ケア、そして新しい家族へつなぐための譲渡準備──一頭一頭にかかるコストは決して小さくありません。

「自分では飼えないけれど、助けたい」そんな思いを持ってくださる方がいらっしゃれば、ぜひ当団体の寄付ページをご覧いただければ幸いです。

皆さまのご支援が、未来の犬たちの命と幸せをつなぐ大きな力となります。

▼ヴァリアスカラーズ寄付ページはこちら

これからも、ひとつひとつの命を大切に、より良い未来を目指して歩んでまいります。

どうか温かいご理解と応援を、よろしくお願いいたします。

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