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2026年2月17日

多頭飼育崩壊はなぜ起きる?現実と課題

多頭飼育崩壊という言葉を聞いたことはあっても、

なぜ起きるのか、どこからが「崩壊」なのかを詳しく知る機会は多くありません。

このコラムでは、多頭飼育崩壊が起きる背景と、表に出にくい現実を整理していきます。

 

 

■本題の前に少し自己紹介

こんにちは✨ 私は動物の専門学校を卒業し、現在はNPO法人ヴァリアスカラーズで、動物に関わる仕事をして約1年になります。 私自身幼い頃、家で動物を飼っていたわけではありません。それでも、動物の存在に自然と惹かれていました。 思い返してみると、そのきっかけは、友人の家にいたワンちゃんだったと思います。 つらい時や気持ちが沈んだ時、そのワンちゃんと過ごす時間に癒され、気持ちが少し軽くなることがありました。 それが、私にとって動物を「好きだ」と気づいた最初のきっかけでした。 動物と関わりたいという思いから、高校では農業系の学校に進み、畜産動物と触れ合いながら、命について学び命を育てること そして命に責任を持つことの重さを、そこで実感しました。 その後、動物の専門学校で動物について学び、現在は現場で動物たちと向き合う立場になり、学ぶ側から、 実際に命に関わる側になり動物と向き合うことの難しさや、簡単に答えが出ない場面があることも知り現在に至ります。 日々現場に立つ中で感じていることをもとに、 このコラムでは、多頭飼育崩壊という問題について一緒に整理し、考えていけたらと思います。

 

□コラム「多頭飼育崩壊はなぜ起きる?現実と課題」□目次

第一章:多頭飼育崩壊という言葉が使われる理由

第二章:多頭飼育崩壊が起きる背景

第三章:表に出にくい多頭飼育崩壊の現実

第四章:多頭飼育崩壊は個人では立て直せない

第五章:多頭飼育崩壊という問題をどう受け止めるか

 

第一章|多頭飼育崩壊という言葉が使われる理由

― どこからが「崩壊」なのか

多頭飼育崩壊とは、犬や猫の飼育頭数が、飼い主の管理能力や生活環境の限界を超え、適切な世話が行き届かなくなった状態を指します。

単に「数が多い」こと自体が問題なのではなく、健康管理や衛生管理、繁殖の制御ができなくなり動物と人の生活が成り立たなくなっている状況を表す言葉です。

このため、「何頭からが多頭飼育崩壊」と明確に定められている基準はありません。

少ない頭数であっても、十分な食事や水が与えられていなかったり、排泄物の処理が追いつかず不衛生な環境になっていたり

すれば、多頭飼育崩壊と判断される場合があります。

一方で、一定数の動物がいても、健康状態や生活環境が保たれ、適切な管理が行われていれば、問題とされないケースもあります。

このように、多頭飼育崩壊は「頭数」ではなく「飼育の状態」によって判断されるため、外からは見えにくいという特徴があります。

周囲からは「動物が多い家」に見えていても、内部で起きている変化や負担が表に出るまでに時間がかかることは少なくありません。

その見えにくさこそが、問題をより深刻にしてしまう要因の一つでもあります。

多頭飼育崩壊 シニア女性

 

 

 

第二章|多頭飼育崩壊が起きる背景

― 飼い主側で起きていること

多頭飼育崩壊は、突然起きるものではありません。

多くの場合、最初は数匹の飼育から始まり、少しずつ状況が変化していく中で、気づかないうちに管理が追いつかなくなっていきます。

避妊・去勢が行われないまま繁殖が続いてしまうケースもありますが、それだけが原因ではありません。

背景には、飼い主自身が家族や周囲とのつながりを持ちにくい状況に置かれていることも少なくありません。

人との関係が薄くなり、孤立した生活の中で、動物たちが心の拠り所になっていくと、

動物たちは“世話をする対象”であると同時に、“確実にそこにいてくれる存在”になります。

言葉を交わさなくても、否定されることもなく、ただ一緒に過ごしてくれる。

その安心感が、少しずつ依存に近い形へと変わっていくこともあります。

寂しさを埋める存在として迎え入れた動物が増えていく中で、

「自分が守らなければならない」という思いも強くなります。

その思いがあるからこそ、手放すことや助けを求めることが裏切りのように感じられ、

結果として外とのつながりがさらに薄れてしまう場合もあります。

こうした状況では、動物が増えていることや環境が悪化していることに気づいていても、誰にも相談できず、問題を抱え込んでしまいがちです。

その結果、多頭飼育崩壊は外から見えないまま進行し、周囲が気づいたときには、すでに個人の力では対応できない状態になっているケースも少なくありません。

 

【ここでの私の気づき】

実際に私が足を運んだ多頭飼育崩壊の現場では、障害のある方が自宅に猫を迎え入れ、共に生活している状況でした。 そのため猫たちは、家の中と外を行き来する状態にあり、完全に管理された飼育環境とは言えない状況でもあります。 ですが、私は現場に立ったとき、単純に「間違っている」と言い切れない空気を感じました。 猫たちはその人にとって大切な存在であり、生活の一部であり、確かにそこに関係があるように見えました。 だからこそ、数が増えているという事実と、その関係性をどう受け止めるのかは、簡単な話ではありませんでした。 また、人との関わりが限られる中で、猫たちが日常の支えになっていたのではないかと感じる場面もあります。 寂しさや不安の中で迎え入れた存在が、いつの間にか増えていき、結果として頭数や環境の管理が難しくなっていく。 そうした流れは、決して珍しいものではありません。 一方で、その方にも猫たちを思う気持ちがきちんとあり、 現在は当団体と一緒に、去勢・避妊手術を進めていくための計画を立てています。 多頭飼育崩壊は、愛情がないから起きる問題ではなく、支えや仕組みが足りない中で起きてしまう現実 この多頭飼育崩壊の現場については、文章だけでは伝わりきらない部分もあります。 実際の様子を、Instagramのリール動画にまとめました。気になる方は、あわせてご覧ください。

 

 

 

第三章|表に出にくい多頭飼育崩壊の現実

― なぜ気づかれにくいのか

多頭飼育崩壊は、周囲がすぐに異変に気づける問題ではありません。

外から見た限りでは、動物が多くいる家庭と大きな違いがないように見えることも多く、深刻な状況が進行していても、長い間見過ごされてしまうケースがあります。

また、飼い主自身が周囲との関わりを持ちにくい場合、生活の変化や困りごとが外に伝わりにくくなります。

近隣との接点が少ない、家族と距離があるといった状況では、問題が起きていても共有されることなく、内部だけで抱え込まれてしまいます。

さらに、多頭飼育崩壊は「急激な変化」として現れないことがほとんどです。

少しずつ頭数が増え、少しずつ環境が悪化し、その変化に慣れてしまうことで、異常が異常として認識されにくくなっていきます。

その結果、周囲が気づいたときには、すでに深刻な状態になっていることも少なくありません。

動物たちの問題として表に出る前に、人の生活や孤立、環境の変化が静かに積み重なっていく。

多頭飼育崩壊が見えにくいのは、その多くが日常の延長線上で起きているからだと言えるでしょう。

室内の保護猫

 

 

 

第四章|多頭飼育崩壊は個人では立て直せない

― 動物と人、どちらも支える必要がある理由

多頭飼育崩壊の状況まで進んでしまうと、正直なところ、個人の力だけで立て直すことはほぼ不可能に近いと感じます。

「頑張れば何とかなる」「気合いで改善できる」といった段階は、すでに越えていることがほとんどです。

頭数が増えた状態では、日々の世話に加えて、避妊・去勢手術や医療ケア、環境の改善など、継続的な対応が必要になります。

それは一度きりの対応ではなく、費用や時間、体力を伴う長期的な取り組みになります。

複数の猫を同時に医療にかけることや、衛生環境を整え直すことは、想像以上に負担の大きい作業です

また、多頭飼育崩壊の現場では、動物だけを助ければ解決する、というわけではないことも多くあります。

飼い主自身が孤立していたり、生活の中で困難を抱えていたりする場合、

その人の状況が変わらなければ、同じことが繰り返されてしまう可能性もあります。

動物を守るためには、同時に、その動物と暮らしてきた人を支えることも必要になります。

どちらか一方だけを助けようとする関わり方では、状況は改善しません。

だからこそ、多頭飼育崩壊への対応には、行政、支援団体、地域などが関わり、

時間をかけながら、動物と人の両方を支える形で進めていくことが欠かせません。

立て直しは一度の介入で終わるものではなく、継続的な関わりの中で少しずつ形になっていくものです。

 
 

【ここでの私の気づき】

多頭飼育崩壊の現場に関わる中で、何事もなかった頃に完全に戻すことは、正直難しいと感じるようになりました。 一度崩れてしまった環境や関係は、同じ形には戻りません。 けれど、元に戻せないからといって、何もできないわけではありません。 「ゼロに戻す」のではなく、今の状況からどこまで整え直せるのかを考えることのほうが、現実的だと感じています。 どうすれば環境を少しずつ良くしていけるのか。どうすれば、猫たちと、そこで暮らす人が、無理のない形で日常を続けていけるのか。 その答えは一つではなく、状況によって変わります。 現場では、正解を探すというよりも、その時点でできる選択を積み重ねていく関わりが必要なのだと感じています。

 

 

第五章|多頭飼育崩壊という問題をどう受け止めるか

多頭飼育崩壊は、頭数の問題として語られることが多いかもしれません。

けれど実際には、暮らしの歪みが積み重なった結果として表に出てくる状態です。

はじめは小さな変化でも、日々の負担が増えていく中で、いつの間にか均衡が崩れてしまう。

その過程は急激ではなく、だからこそ周囲にも伝わりにくい側面があります。そこにあるのは、単純な善悪ではありません。

動物との関係が生活の中心になっていく過程や、頼れる先が限られていく状況が重なったとき、

問題は静かに形を変えていきます。

この現象は、特別な誰かの話ではなく、条件が重なればどこにでも起こり得るものです。

目に見える部分だけを切り取るのではなく、その成り立ちごと受け止めることが求められます。

そして、こうした状況は、時間をかけて関わることでしか変えていくことができません。

 

 

【~ご支援・ご協力のお願い~】

   

私たちヴァリアスカラーズは、こうした現実に向き合いながら、行き場を失った犬や猫の命を守り、新しい家族へつなげる活動を続けています。
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